どうしてチケットノルマはなくならない?

どうしてチケットノルマはなくならない?~海外と日本のライブハウスの違いとは~

音楽をやっていると度々聞こえてくるのがチケットノルマ問題。ライブをする際にイベンターやライブハウスからノルマを求められることもあり、集客で悩むバンドマンも多いですよね。

実は海外はチケットノルマがないのはご存じでしょうか。

今回は日本と海外のチケットノルマ事情についてご紹介します。

海外のライブハウス事情

パンクロックバンドのライブ風景
パンクロックバンドのライブ風景

普段はあまり考えることはないかもしれませんが、日本以外のライブハウス、特に欧米のライブハウスはどのようになっているのでしょうか。

結論から言うと欧米ではライブハウスや飲食店でのライブをする際にバンド側にチケットノルマを課すことはほとんどありません。主催側はバンドをブッキングする際に特に参加料もチケットノルマもとることはなく、逆に主催側が出演料を払ったり、チケットの売り上げを完全にアーティスト側の取り分とすることもしばしばあります。日本でもペイバックでノルマ以上の分は取り分となることもありますが、チケットの売り上げが丸々入ってくるのは驚きですよね。

日本はどうしてチケットノルマがなくならないの?

ライブハウスのステージ
ライブハウスのステージ

これだけ見ると「海外のライブハウスはノルマがないのに日本ではなぜあるの?」と疑問に思い、日本のライブハウスがお金にがめついように見えてしまうかもしれません。ですが決してそんなことはなく、日本のライブハウスがチケットノルマを採用しているのは理由があるのです。

海外と日本のライブハウスには3つの大きな違いがあるのです。

利益構造の違い

なぜ海外のライブハウスがノルマなしでできるのかというと、日本と海外のライブハウスでは利益構造が全く違うからです。これが一つ目の違いになります。

日本のライブハウスがライブなどの音楽興行に特化しているのに対して、海外のライブハウスは飲食代を利益の軸としています。というのも海外のライブハウスはバーや飲食店などがライブハウスを兼業しているという業態がほとんどで、日本のようなライブハウスもありますが日常的に行われるライブの場は飲み屋や飲食店がほとんどとなっています。

飲み屋や飲食店がライブハウスを行うということは、集客を必ずしもライブに依存していないということです。飲食代だけで最低限の利益は賄えているので、場所の使用量や運営費を出演者に負担してもらう必要がなくなり、ノルマを課す必要性がなくなるためノルマが無い、ということですね。

維持費の違い

2つ目はライブハウスの維持費、コストの違いです。

日本のライブハウスは機材や音響の設備が充実しており、その分機材の維持費も高額になります。さらに防音性の高い設計で建築のコストも高く、比較的アクセスのよい立地のため家賃等も高い傾向にあります。日本のライブハウスの運営費用はおそらく皆さんが思っているより高額なのです。

対して海外のライブハウスは正直そんなに機材が充実しているわけではありません。最低限のアンプやスピーカーがあるだけのところもあれば、演奏スペースがあるだけで機材はアーティスト側の持ち込みといったこともあるくらいです。

また防音なども全く気にはしておらず、店の外に演奏音が漏れていることもしばしばです。アメリカなどは土地も広く店と店の間隔が広いうえ、演奏音に寛容なので日本のように防音対策をしっかりする必要がないのです。

そのため海外のライブハウスのコストは日本に比べて格段に安く、ライブをするからアーティストに負担してもらおう…ということにはならないのです。

文化の違い

最後に3つ目は文化の違いです。日本ではライブを見に行くとなると音楽好きが好きなアーティストのライブに行くくらいで、一般的な人々が気軽にライブに行くという感覚はありません

それに対して欧米などの諸外国ではライブというものはもっと身近にあります。路上ライブや飲食店のライブなど様々な場所で音楽の演奏が行われ、音楽は生活に密接したものとなっています。そのため私たち日本人が映画館に行くような感覚でライブに行くので、ライブハウスのお客の母数が日本より多くなる傾向にあります。

目指すべきカタチとは

いかがでしたでしょうか。今回は日本と海外のライブ事情についてご紹介しました。

一見海外のライブ事情のほうがアーティストにとって有利で、店側が可能であればそういったモデルを取るべきだと思う人もいるかもしれません。ですが生活様式や音楽文化など根底にあるものが違いすぎて、日本で欧米のモデルをそのまま採用してもビジネスとして成り立たないでしょう。

とはいえ現状ライブハウスなど主催者側がリスクを負う必要がなさすぎる構造も問題です。チケットノルマ制にすればアーティストにブッキングした瞬間店側の利益がなくなるため、経営のための営利的なブッキングが横行し無知な若手のバンドが食い物になっている現実があります。

この流れは将来有望なアーティストを食いつぶし、店側も営業努力を怠る原因になりかねない負のスパイラルです。もっと店側とアーティスト側がWin-Winの関係になれるよう、海外のスタイルに参考するべきところは多くあると思います。ぜひ参考になれば幸いです。

※日本でもバーを主体とするライブハウスは少ないながらも存在し、ライブハウスでもチケットノルマを廃止したりといろいろな試みは見られます。

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