皆さんはパンクロックを聞いたことはありますか?馴染みのない人にとっては敬遠しがちなジャンルだと思いますが、その音楽性は面白くなかなか魅力にあふれています。
今回はパンクロックについてお話ししましょう。
目次
パンクロックの歴史
パンクロックがどんなものかを見ていく前に、パンクロックが成立した時代背景と歴史をご紹介します。
パンクロック発祥の背景
パンクロックは1970年代に初めて登場します。そのころのロックシーンは60年代後半に登場したハードロックやプログレッシブロックが大流行しており、高い演奏技術やハイテク機材を駆使したものであったためにより複雑で前衛的な、多くの人が直感的に楽しめる従来のロックとは違ったものでありました。
パンクロックはそれらの音楽からの反発として生まれ、シンプルだけどアグレッシブなロックの原点を再び目指したものと言われています。
ニューヨークパンク
パンクロックの起源は1975年ごろにアメリカのニューヨークのロックシーンと言われていて、ニューヨークアンダーグラウンドと呼ばれる若者のアートシーンから発生したといわれています。
ニューヨークでライブハウスが多数でき音楽活動が活発になる中、ラモーンズやパティ・スミスやテレビジョンなど様々なパンクバンドが登場しました。このニューヨークパンクはアート志向のロックから影響を受けているとみられ、今日皆がイメージするパンクロックとは少し違うと思います。
なおニューヨークパンクはたちまち全世界のロックシーンのトレンドになったというわけではなく局地的なムーブメントでした。ですがのちのロックに与えた影響は大きく、イギリスのロンドンでもその影響を受けたバンドが表れてくることになります。
ロンドンパンク
ニューヨークパンクの影響を受けてイギリスのロンドンでもロックシーンにパンクロックが登場し、そのパンクはよりアグレッシブでシンプルなロックでした。今日皆がイメージする激しく暴力的なイメージのパンクロックはこのロンドンパンクです。
1976年にセックス・ピストルズがデビューすると、様々なパンクバンドがロンドンで登場しました。彼らの音楽性はひたすらにアグレッシブで演奏技術よりも政治や社会などに対する反抗心や怒りの姿勢を前面に出したものであり、ロックの精神を表したものと言えるでしょう。
そんなパンクロックは不況下で社会に対する不満をつのらせていたイギリスの若者を中心に社会全体で大きなムーブメントになります。ムーブメントはイギリスだけにとどまらず、欧米諸国や日本にもおよび多くのパンクロックバンドが誕生していくことになります。
ムーブメントの終焉
勢いを見せたパンクバンドのムーブメントですが、1978年にパンクバンド流行の立役者であるセックス・ピストルズが解散すると一気に沈静化されます。
しかしその後も周期的にロックによるムーブメントはたびたび起きることになり、その中でより過激なハードコアロック、旋律的なメロコア、青春をテーマにした青春パンクなど様々な形のロックが生まれて行くことになります。
パンクロックってどんな音楽?
20世紀の激動の時代にムーブメントを起こし続けたパンクバンド。その音楽性はどのようなものなのでしょうか。
シンプルで直感的にわかりやすい演奏
パンクバンドのパート構成はとてもシンプルで、一般的にはボーカル、エレキギター、ベース、ドラムと非常に基本的な構成です。メロディも力強くもシンプルで分かりやすいものが多いです。
これは、音楽は誰でも参加できるものだという主張の表れで、技術を競い合い高価な楽器を使った、いうなれば意識高い系の70年代前半のロックへのアンチテーゼといえるでしょう。
演奏技術より主義主張を前面に押し出した音楽のため、ハードロックやプログレッシブロックより演奏のレベルが低い、下手という意見がしばしばみられます。しかし、パンクはそこを土俵にしているわけではなく、メッセージをストレートに伝えるために力強さ、シンプルさが重視されているというということを忘れてはなりません。
ストレートでアグレッシブなメロディと歌詞
パンクバンドといえばもっとも特徴的なのがアグレッシブなメロディや歌詞です。パンクの根源は自身を抑圧するものに対する反抗心で、それをストレートに表すためにメロディや歌詞が直接的かつ攻撃的なものとなるというわけですね。
もともとはハードロックやプログレッシブロックに対する反抗であったものが、社会であったり政治であったり人種差別であったり性差別であったりとアーティストや楽曲によってさまざまです。体制に立ち向かったり、社会問題に声を上げるために作られたパンクロックもあり、同じ不満を持つ人たちの強い共感を得るに至りました。
ロックの精神がここに
いかがでしたでしょうか。今回はパンクロックについてお話ししました。
パンクロックは一部の人のものとなりつつあった70年代前半のロックへの反抗として生まれ、ロックは誰もが楽しめるものと掲げ発展していきました。そのムーブメントは日本にも及び、日本のバンドブームなどを支えるなど大きな影響をもたらしたと思います。
その激しさやアグレッシブさから人を選ぶ分もありますが、パンクロックの中にもいろいろなメッセージ性のものがあり、中には地震で共感できる、刺さる音楽がもしかしたらあるかもしれません。気になっている方はぜひ聞いてみてはいかがでしょうか。