『社歌』ってどうなの?会社の想いをのせ社歌を導入する企業も

『社歌』ってどうなの?会社の想いをのせ社歌を導入する企業も

社歌とは?

社歌とは?
組織が一致団結する

社歌は文字通り『会社の歌』という意味で、従業員の団結力や士気を高めるなど意識の向上に使われることが多く、社内行事や朝礼などで流されます。そのため、歌詞には企業の理念や想いやコンセプト、従業員への応援メッセージなどが盛り込まれることがあります。

企業によっては社歌をCDにして一般向けに販売していたり、カラオケに配信している場合もあります。

軍歌や校歌のようなイメージがある社歌

校歌のようなイメージがある社歌
学生たちが校歌を全体合唱する

社歌を持つ企業は昭和やそれ以前に創業した企業が代表されるため、当時の社歌は軍歌や校歌のような合唱スタイルの社歌も多く、社歌と聞くと軍歌や校歌を思い浮かべる人は多いかと思います。

歴史から紐解くと見えてきます。

1800年代後半に社歌ではないのですが、工場の工員を鼓舞するために社歌のような組織のための楽曲作られた背景がありました。

日本で最初の社歌は満州鉄道会社の『満鉄の歌』とされているようです。
(参考文書:社歌の研究)

その後、1920年代の後半から1930年代にかけて第一次社歌ブームが訪れます。

この頃に生まれた国内の社歌は戦前または戦時中ということもあり軍歌のようなイメージが強いように思います。

1930年代には鹿島建設や松下電気などの現在も日本の代表として活躍する企業が社歌を制定します。

1950年〜70年頃に日本の高度経済成長を支えた企業は、人と人とが強い絆で結ばれ組織が強固でした。そんな強固な組織作りに貢献した一つの要因として第二次ブームの『社歌』がありました。昭和のこの時代に社歌が注目され、企業が続々と導入したことで、この時代の音楽背景が現在の社歌のイメージに繋がっているのかもしれません。

海外でも導入されている社歌

あまり海外では社歌の文化を耳にしませんが、海外でも古くから社歌を導入している企業があります。

メルセデス・ベンツ・グループAG

ドイツで有名なのがメルセデスベンツです。メルセデスベンツには1941年に作られらた『生産する故郷の歌』という社歌があり、軍歌のような曲調になっています、YouTubeなどでも視聴ができます。

ユンカース航空機・発動機製作株式会社

ドイツの航空機とエンジンメーカーであるユンカース航空機・発動機製作株式会社の社歌も同じ1940年頃に作られ軍歌のような曲調になっています。

 International Business Machines Corporation(IBM)

アメリカではあの有名なコンピューターメーカのIBM社にも2曲の社歌があります。IBMの社歌は古く1930年代に作成されたそうです。

『Ever Onward IBM(絶えず前進を)』

社歌を持つ日本企業

パナソニック 株式会社

『この夢が未来』

作曲:久石譲 作詞:森雪之丞

2008年松下電器産業株式会社からパナソニック株式会社に社名を改称。それに伴い社歌も変更されました。松下電器産業株式会社は1931年(昭和6年)に朝会の終わりに歌う『歩一会会歌(ほいちかいかいか)』を制定したのをはじめ、1974年から2008年まで『愛と光と夢で』という社歌がありました。
また、松下電器産業株式会社は1952年から古関裕而作曲の『月日とともに』という、夕会時に歌われた松下電器行進曲もあります。

トヨタ自動車 株式会社

『トヨタ自動車工業株式会社 社歌』

作曲:服部良 作詞:西条八十

1952年(昭和27年)11月3日に社旗(しゃき)と一緒に社歌も制定されました。トヨタ自動車の入社式やトヨタ工業学園卒業式などでは現在も社歌斉唱がおこなわれます。
※2021年卒業式においては斉唱ではなく静聴として社歌が流れました。

株式会社 資生堂

『資生堂社歌』

作曲:橋本國彦 作詞:土岐善麿
アーティスト:資生堂コーラス部

資生堂の社歌は戦後の復興期1946年10月20日に制定されました。資生堂の社歌は3番まであり1番は『化粧品への想い』、2番は『グローバル』世界の平和と発展を、3番は『資生堂の発祥の地』煉瓦街と柳の街路樹について発祥の地である銀座について歌っています。

【資料】
https://corp.shiseido.com/jp/newsimg/archive/00000000001263/1263_i3v27_jp.pdf

株式会社ローソン

『Heart to Heart』

作曲:布袋寅泰 作詞:布袋寅泰
アーティスト:布袋寅泰

2011年5月にローソンは国内10,000店舗突破しました。そして『ローソングループから日本を元気にしていこう』という想いを込めて、布袋寅泰さん制作のグループソング(社歌)『Heart to Heart』が発表されました。

【ローソングループソング紹介ページ】
https://www.lawson.co.jp/company/groupsong/

その他にも

川崎重工業 株式会社
『川崎重工業社歌・はばたけ川崎』
作曲:山本直純 作詞:坂田寛夫

関西電力 株式会社
『呼ぼうよ雲を』
1961年(昭和36年)5月15日制定
作曲:古関裕而 作詞:竹中郁
アーティスト:伊藤久男、安西愛子、コロムビア合唱団、コロムビアオーケストラ

山崎製パン 株式会社
『山崎製パン社歌』
作曲:古関裕而
アーティスト:コロムビア合唱団

社歌で魅了した作曲家

古関裕而(こせき ゆうじ)

1909年(明治42年)福島県福島市に生まれ、1930年に日本コロムビアの専属作曲家として数々の楽曲を作り約5000曲の作品を世の中に残しました。2019〜2020年NHKの朝の連続テレビ小説『エール』では古関裕而をモデルにしたフィクションとして描かれています。古関氏は有名企業の社歌も多く作曲しています。松下電器、関西電力、山崎製パン、ライオン、城南信用金庫、雪印、パイオニア、象印、東宝、朝日新聞、MCCなど

小椋佳(おぐら けい)

1944年(昭和19年)東京都下谷区(現在の台東区)に生まれ、東大を卒業後、銀行マンとして支店長や本店での部長職を歴任しながら音楽活動をおこなう。美空ひばりの『愛燦燦』など名曲の作家として有名ですが、企業の社歌や広告曲なども数多く作曲。代表として株式会社京進『志高く』作詞/作曲、株式会社トマト銀行『にんげん大好き』、株式会社長崎屋『太陽の鳥に似て』、有限会社春華堂の『うなぎのじゅもん』(うなぎパイの曲)など

近年の社歌は新しいポップなスタイルも

スタートアップなどベンチャー企業は若い経営者も多く、クラブミュージックのような楽曲やJ POPのような楽曲など現代の曲調を採用した社歌も多く導入されているようです。

また、YouTubeの配信が主流になる中、ダンスなどを取り入れMVを制作し企業PRや、みんなでダンスを覚えて踊り従業員の団結を強めるような企業もあります。

社歌導入に追い風?

2016年に始まった中小企業向けWEBサイトHANJO HANJOによる『中小企業社歌コンテスト』(社歌コン)は、2019年日本経済新聞社が主催し『NIKKEI全国社歌コンテスト』として開催されました。

そして2021年度に第三回を終えたくさんの企業が参加しました。
第四回は開催が未定ですが、テーマソングや応援歌で会社の魅力や社員の方々の想いが詰まっていれば制定された社歌ではない非公式ソングでも参加できます。

これからの社歌は

企業ごとに制定し歴史として残ってきた社歌ですが、これから新しいカタチでも使われるのではと筆者は想像しています。例えばプロジェクトごとにテーマソングを持ちプロジェクトに関わるスタッフがチームワークを築くツールになるのではないでしょうか。

また、YouTubeなどで配信も便利になったため、企業PRなどにも役立つかもしれません。

そんな社歌が違ったカタチでも、もう一度ブームを起こし新たな社歌クリエイターが生まれたら面白いと考えています。

今回は社歌についていろいろと調べてみました。魅力的な組織作りやチーム作りに社歌など音楽を取り入れるのもひとつの手法かもしれないですね。

社歌は歴史も深くすごく調べ甲斐のあったテーマになりました。

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