今回のテーマはアーティストから少し離れた内容に感じるかもしれませんが、Web3.0とアーティストの関係性は高いものになってくると思っています。
目次
Web3.0を音楽でわかりやすく例えると
Web3.0とはバージョン的な概念で、音楽で例えるとレコードやカセットテープは音楽メディア1.0、CDやMDやMP3は音楽メディア2.0、配信サービスなどアプリで聴くのは音楽メディア3.0のように位置付ける事ができます。
※正式な定義ではなく私の個人的な定義です。
この音楽メディアの変遷に関しても1.0〜3.0に変わるまで、楽曲の聴き方や売り方など様々な変化があったかと思います。
Web1.0から3.0への変遷
Web1.0
読み方:ウェブワン、ウェブいってんぜろ
Windows95が発売された1994年あたりから始まったブラウザを介したインターネット黎明期。
インターネットに置いたチラシのような存在で、一方通行の情報発信がこのWeb1.0だと私は定義しています。
この時代の課題は一方向の情報のため、情報が新聞やTVなどのメディアと大差が無く、インターネットの情報がユーザーにとって優先順位が低かったと思われます。また、パソコンからのアクセスが80〜90%だったこともWeb1.0の課題だったのかもしれません。
ホームページなどを管理するWebサーバーやデータベースなどはホームページを持つ会社が自社で管理したり、サーバーをコンピューターごと借りるなど、オンプレミス(オンプレ)という仕組みが一般的でした。
この時代はアーティストもレンタルサーバーなどでホームページを作成しライブ情報やリリース情報を一方向で発信していたのではないでしょうか?
Web2.0
読み方:ウェブツー、ウェブにぃてんぜろ
SNS時代で相互情報交換があたりまえになった2004年あたり、ブログが一般的になりユーザーが情報を発信する時代が始まります。mixlやFacebookなど巨大なSNSが立ち上がりました。2004年以前からブログサービスやSNSのベースになったサービスや2ちゃんねるやBBSなどの相互の情報発信みたいなものはあったのですが、私の定義としては2004年あたり、時代を大きく動かすことになるSNSの誕生とします。
実際に日本国内でSNSが時代を変えるくらいまで爆発するのは2010年あたりかと思います。
そしてAppleやGoogleが発表したスマホ(iPhone、Android)の誕生と到来により、ユーザーの行動が一変しました。
Web1.0時代とは変わって多くのサイトでスマホ80〜90%になっているかと思います。
しかしWeb2.0にも課題があり、プライバシーの保護やセキュリティ、情報漏洩や偽情報など課題は山積みになりました。
多くのWebサーバーやデータベースはAmazon(AWS)やMicrosoft(Azure)やGoogle(GCP)が管理するクラウドシステムへと移行していきました。
アーティストはファンや興味を持ってくれているリスナーとSNSを使用することでコミュニケーションを取ることが容易になり、相互にエンゲージメントを高める行動を起こすようになりました。
チケットの仕組みもスマホアプリなどで簡単に管理、発行、販売ができるようになりました。
Web3.0
読み方:ウェブスリー、ウェブさんてんぜろ
Web3.0は2014年に仮想通貨Ethereum(イーサリアム)のCTOで共同創業者であるGavin Wood(ギャビン・ウッド)氏が提唱しました。
※現在はPolkadot(ポルカドット)の共同創業者
Web3.0が提唱されたことにより、1.0や2.0の時代を振り返るようになりました。
Gavin Wood氏の経歴からもわかるのですが、Web3.0とはブロックチェーンの到来です。仮想通貨やNFTなど近年話題沸騰なキーワードを支える技術が分散型台帳とも呼ばれるブロックチェーンです。
Web3.0はまだまだ入口だと思っています。そのためかなり想像で話は進めますが悪しからず。
Web3.0の到来によりブロックチェーンによるセキュアなデータや消去できないログが注目されるのではないでしょうか。個人情報は当時のクレジットカード情報の保管方法が問題になったように、ブロックチェーン上の参照でしか扱えないなどのルールが敷かれる可能性も感じています。
ブロックチェーン上のワンアカウントで全てのサービスやECサイトを利用できるイメージです。
※あくまでも個人の想像です。
つまり、あるジャンルのデータにおいての保存先はこれまでのようなデータベースではなく、分散化されたブロックチェーンに保存することになると思います。
そして、サーバーレスの到来。
すでにWebサイトは負荷をサーバーではなくクライアント(ユーザー側のデバイス)に頼る時代が訪れています。将来見返した時には、このSPA(Single Page Application)やノーコードやローコードでのホームページが基本になっていると思います。
データは色々な情報提供するサービス(SaaSやBaaSなど)を参照し、確実でユニークな情報を提供し、現在のようにアーティストのサイトとライブハウスのサイトのライブ情報が違うなどの課題を解決するなどWeb3.0時代は情報が確実かつ安全なものに変化していくと思います。
アーティストは作品を作るための資金集めのタイミングや調達方法が変わってくると思います。
Web3.0を支えるテクノロジー
P2P
読み方:ピア・ツー・ピア
英語:Peer to Peer
コンピューター同士が対等に通信をおこなう通信方式。
インターネットの普及により、デジタルデータ化された音楽や映像などの著作物は簡単に複製され、誰でも配信サイトや違法ダウンロードなどで入手する事ができました。
この違法ダウンロードで注目された技術がP2Pです。直接1対1〜n対n(無限)のユーザーと繋がり情報を交換する通信方法になります。
通常のクライアントサーバー型とは異なった通信方法となります。
P2Pは過去からあった技術
当時はWinyやWinMXやBitCometなど1つのファイルデータを複数のユーザーで共有し合う仕組みとして話題でした。
P2Pは最後1対0になるまでファイルデータの共有は終わりません。この時代にWinyなどを使って違法ダウンロードをしていた人は「誰にも繋がらなくてダウンロードできなかった」など少し疑問に思うかもしれません。
Winy時代はインターネットに繋がる手段がパソコンしか無かった事、そしてWinyユーザーに限られていた事、Winyではデータ単位でのつながりだった点が繋がりにくかった原因となります。
現在とこれからのP2P
現在(2022年時点)では大きく違います。
スマホを持ち電車内でスマホを使用している人は60〜80%ではないでしょうか?
Winy時代は電車内でのコンピューターの利用率はほぼゼロです。
つまり、現代では世界中のユーザーがインターネットから離れる事が無くなったということ。
最後の1対0は、世界中のスマホやPCが同時に接続できなくなる時になります。
またブロックチェーンという限られたプラットフォームを世界中で共有することで、絶対に切れない関係が生まれます。これがブロックチェーンの凄いところになります。
NFT
読み方:エヌエフティー
英語:Non Fungible Token
日本語:非代替性トークン
ブロックチェーン上に記録された保有証明書で、デジタルアートや音楽などのデータの所有者を証明する仕組みです。
詳しく記事にまとめています。
DAO
読み方:ダオ
英語:Decentralized Autonomous Organization
日本語:自律分散型組織
簡単に説明すると株式会社の株の仕組みをブロックチェーンで実装します。
DAOを持つプロジェクト管理者やユーザーみんなで意思決定をする仕組みです。
例えばバンドで持ったり、ファンコミュニティを持つことも考えることができます。
ライブの会場や演奏する曲などをコミュニティで決定するなど、新しいカタチが生まれてくる可能性を感じます。
絶対NFTやDAOだけでは止まらないブロックチェーンの規格。
FTやNFTやDAOなど多様性が出てきたブロックチェーンは例えばイーサリアムの場合、トークンを発行する規格によって機能が違います。そして規格はどんどんアップデート・アップグレードされて、新しい目的や概念が追加されていきます。
イーサリアムの規格については別記事の
『ERC規格(ERC721など)』を参考にしてください。
Web3.0時代によるライブの変化
メタバースなど三次元への変化などではなく、これまでのライブシステムやライブハウスの仕組みが変化するのでは?という内容で紹介します。
Web3.0で最新テクノロジーを手軽に利用できる時代では、ライブブッキングなどに変化が訪れる可能性を感じています。
現在のように、ライブハウスのブッキングマネージャーやイベンターによって組まれたライブなどの仕組みではなく、ライブに参加するファンや観客やアーティストや裏方が当日のアーティストを
投票型で決めたり、アーティストをAIによって選抜されたイベントに参加したい人を募り、参加人数が定数を超えたら開催するなど、会場とイベントの役割が大きくわかれる事になると思います。
Web3.0ってこれからどうなるの?
Web3.0は流行り言葉とも言われていて、マーケティングにすぎないなどとも言われています。
しかし、インターネットはどんどん進化していて、Web3.0のようにバージョンとして括られることには違和感がないように思います。
次世代インターネットでアーティストは音楽業界は日本はどんな立ち位置で時代を進むのか、少し取り残されているようにも思う昨今、ゲームチェンジの時が近づいているのなら、時代の波に乗れるよう構えておく必要があると思います。