歌を練習していると、「音程は合っているのになんか違う…」「同じ曲でも、あの人が歌うと上手い…?」と疑問に感じることはありませんか?
それは、「歌が上手い」というのは、一言では説明しつくせないくらい複雑な要素が絡み合っているからです。
今回は、歌を上手く歌うために重要なテクニックについて解説していきます。種類と効果などを具体的に紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
歌の上手さには2パターンある?
多くの人は「カラオケで高得点が取れる人」=「歌が上手い人」だとイメージしがちな傾向にあります。しかし、カラオケ番組などで、プロのアーティストなのに点数があまり伸びない…という場面を見たことはありませんか?
このことから、「多くの人を魅了する歌声」と「カラオケで高得点が取れる歌声」は違うということがわかりますよね。
以下からは、カラオケが得意な人と歌が上手い人の違いについて解説していきます。
カラオケが得意な人
カラオケでは、おなじみの「採点機能」で自分の歌声が採点されて点数が付きます。現在、カラオケに採点機能を搭載しているのは「DAM」と「JOYSOUND」の2社ですが、チェックされるポイントは大きくは変わりません。
音程、リズム感、声の安定感、抑揚やロングトーン、ビブラートなどのテクニックなどが採点対象ですが、その中でも音程と安定感の配点が特に高いです。反対に、テクニックの配点はかなり低くなっています。
そのため、カラオケが得意な人は「テクニックで個性を出すよりも機械のように正確に歌い上げる」ことが出来ているのでしょう。
歌が上手い人
音程や声の安定感ももちろん大切ですが、楽譜通りに淡々と歌うだけでは「歌が上手い」とは言えないでしょう。
音程や安定感に加えて、「表現力」が重要になってきます。
歌には、作詞作曲した人からの想いが詰まっており、それをどのように表現していくかが歌の上手さに関係してきます。
歌が上手い人は、楽譜をしっかりと忠実にこなした上で、自分の個性やアレンジを加えているのです。
カラオケが上手い人の特徴
カラオケで高得点を取るためには、カラオケの採点システムを理解して、配点が高い採点対象を重点的にこなすことが重要です。
以下からは、カラオケが上手い人の特徴をポイントで3つ紹介していきます。注意しながら歌ってみると点数を伸ばせるでしょう。
音程が正確に取れている
カラオケの採点機能では、音程の配点が最も高いです。
プロのアーティストは、設定されている原曲のメロディーラインをわざと揺らしてみたり、リズムを変えるなどのアレンジを加えることもあります。
しかし、カラオケでこれを真似すると高得点が取れない原因になってしまいます。
カラオケの採点機能では、原曲のメロディーラインからずれていたら例えアレンジだったとしても「音程が間違っている」と機械には判断されてしまうからです。
画面に表示される音程バーを確認しながら、正確な音程を目指しましょう。
リズム感がある
リズムは「タメ気味」「丁度いい」「走り気味」の3種類で7段階評価です。
タメ気味と走り気味では、走り気味の方が減点は大きいため、歌い慣れていない曲を選ぶときは、なるべくゆっくりのテンポの曲を選ぶと良いでしょう。
声に安定感がある
声が揺れることなく発声できているかが、安定感では採点対象になります。音程が特に不安定になりやすいのは、同じ音を長く伸ばすフレーズです。
そこで、ロングトーンをマスターすると、安定感のある歌声が出せるようになります。ロングトーンをマスターするには、腹式呼吸などを練習する必要があるため、なかなかハードルが高く、時間がかかります。しかし、一度マスターしてしまえば色々な曲を歌うのに活かせるでしょう。
歌そのものが上手い人の特徴
プロのアーティストは、表現力が豊かで人の心を動かせるような歌を歌いますよね。まさに、こういう歌を歌える人のことを「歌そのものが上手い人」と言えるのではないでしょうか?
以下からは、歌そのものが上手い人の特徴をポイントで3つ紹介していきます。
身体の使い方が上手い
棒立ち・無表情のままでは、歌への感情はなかなか沸きづらいです。
プロのアーティストが歌っている様子を見てみると、物凄く身体を動かしていたり、感情的な歌詞の時は表情も連動していたりしますよね。
切ない曲の時は切ない表情を、うっとりしたような曲の時はとろんとした流し目を、楽しいアップテンポの曲の時は明るくはじけた表情と、プロのアーティストは表情管理までしっかりしています。
歌う時に緊張で身体がガチガチに固まってしまう人もいると思いますが、そういう時こそ身体を動かすのが有効です。
首を前後に動かしたり、足をタンタンと鳴らしてテンポを刻んでみましょう。
そうすると、自然と緊張がほぐれ、身体の隅々まで意識が行き届くようになります。
「歌に感情を乗せたい!」という時は、歌っている時の身体の使い方を意識してみましょう。
訴えかけるような歌い方ができる
歌には、作詞作曲者が込めた色々なメッセージがあります。
カテゴリーとして「冬の恋愛ソング」「夏フェスで盛り上がる曲」などがあると思いますが、曲に込められた思いはそんなざっくりとした大まかなものではないでしょう。
歌詞の背景、主張したい気持ち、曲の流れの中でも移り変わっていく感情など、メッセージの内容は非常に多彩極まりないです。そのメッセージを理解しないまま歌っていても、歌詞と歌声はマッチしていきません。
聴き手に訴えかけるような歌声を届けるためには、まず「歌詞の読解」が欠かせないでしょう。
発音がきれい
歌詞に込められたメッセージを聞き手に伝えるためには、感情表現や身体の使い方も重要です。しかし、まず発音が明瞭じゃないとせっかくの工夫も意味を成しません。
多くの人は、発声するのが苦手な母音・子音があったり、音程によって発音が濁ってしまうことがあります。
例えば、「タチツテト」や「パピプペポ」の発音などは、歌っているとなかなか聞き取りづらかったりするものです。
なかなか日常生活では気づけない点なので、録音したりして、自分の苦手な発音を知って修正していきましょう。
なぜテクニックが必要なのか
カラオケが上手くなりたい!という人にとって、テクニックは採点の配分が少ないので、あまり気を配らなくても良いでしょう。
しかし、歌そのものが上手くなりたい人にとっては、テクニックは重要になってきます。
プロのアーティストにとって、ピッチや音程が安定していたり、息の使い方が上手なのは当然のことです。
その「基礎」の上に「テクニック」が加わることで訴えかけるような、感動させるような歌を歌うことができます。
色々なテクニックを駆使することで、曲に込められたメッセージを聞き手に明瞭に届けることができるのです。
歌のテクニック一覧
以下からは、歌の表現力をグッと上げる手助けになるテクニックについて紹介していきます。
テクニック1〈ビブラート〉
歌のテクニックの中で、1番有名であろうビブラート。
歌のフレーズの終わりに声を「波のように」揺らす技術のことをビブラートと呼びます。声の揺れ幅が一定、速さや間隔も一定であることが、綺麗なビブラートの条件です。
ビブラートを使う効果としては、音に表情が付きます。
曲の中で特に強調したいフレーズにビブラートをかけることで、そのまま単音で伸ばしているよりも音に響きが付きます。
上手く使えば、聴き手に対して印象を残せるような歌になるでしょう。
テクニック2〈ミックスボイス〉
地声と裏声が混ざった中間の声のことをミドルボイスと呼びます。 要するに、地声と裏声とを引っかかることなくスムーズに行き来できる声のことです。
ミックスボイスを使う効果としては、高い音域でも裏声っぽい感じにならずに、まるで自分の地声のように滑らかに高い音を出せるようになります。
テクニック3〈こぶし〉
演歌歌手の人が多用している、細かい節を付けるテクニックのことをこぶしといいます。
ビブラートと混同されがちですが、ビブラートに比べてこぶしは力強さを表現できます。 力強さに加えて、こぶしを加えると歌声に「余韻」が生み出されます。歌に余韻があると、聴き終えた後も耳に残る…と感じてもらいやすく、歌詞のメッセージ性を伝えたい時にも有効です。
テクニック4〈しゃくり〉
原曲の音をあえて出さずに、少し下の音を軽く出しながら本来の音にぐっと持ち上げていくという歌い方のことをしゃくりといいます。
しゃくりを入れると、曲に抑揚が付いて、全体的になめらかな雰囲気を出すことができます。
「なんだか一本調子で淡々とした歌声になりやすい…」という人はぜひしゃくりを使ってみましょう。
テクニック5〈ロングトーン〉
同じ高さの音を安定して真っすぐ長く出し続ける歌い方のことをロングトーンといいます。
ロングトーンを使うと、声が安定するため、自然と音程と声量も安定して、聴きごたえのある歌が歌えるようになるでしょう。
テクニック7〈フォール〉
本来の音から音をなめらかにストンと落とすテクニックのことをフォールといいます。
フォールを使う効果としては、フレーズの余韻を残せたり、切なさや色気、憂いを表現することができます。
テクニック8〈ファルセット〉
息漏れさせた裏声のことをファルセットといいます。
ファルセットを使う効果としては、曲に透明感が溢れる雰囲気が出たり、切なさや弱さを演出できます。そして、地声では出せないような高音が出るため、歌える曲の範囲が広がるでしょう。
テクニック9〈ウィスパーボイス〉
ささやくような、通常の歌声よりも少し息の混じったしっとりした歌声のことをウィスパーボイスといいます。
ウィスパーボイスを使う効果としては、セクシーさや儚い印象を曲に与えてくれます。
テクニック10〈がなり声〉
シャウトに近いような発声方法で、ガラガラとした怒鳴っているような声を出すテクニックのことをがなり声といいます。
がなり声を使う効果としては、力強い印象を与えることができ、曲の中のメッセージを明確に聴き手に伝えることができます。
終わりに
今回は、歌のテクニックについて解説していきました。
この記事が、歌が上手くなりたい方の参考になればと思います。最後までご覧頂きありがとうございました。