2022年4月1日に文化庁が『著作権契約書作成支援システム』をリニューアルして公開したことを発表しました。
YouTubeやSNSなどインターネット上のプラットフォームにおける著作物の二次利用など、著作権の契約内容を時代に合わせ要件を追加した仕様になったようです。
今回、文化庁に問い合わせをし、サイトのキャプチャなど掲載許可をいただいたので、使い方を含めて、この便利なシステムを紹介させていただきます。
目次
文化庁って何をしているの?
そもそも文化庁はご存知でしょうか?
文化庁は文部科学省の組織の中にあり、アートなど創作活動の支援など振興を図る役割など文化に関する政策の企画や文化財の保存や著作者の権利、出版権、著作隣接権などの保護、宗教に関することなどを担っています。
著作権契約の大切さ
著作権は契約を締結せず著作物を納品、公開するケースがあります。その場合、音楽を創作する人と利用する人の間で権利をめぐってトラブルが起こることが多いそうです。
例えば、作曲の依頼があり著作権を何らかの理由で契約により譲渡している場合、作家は自分の作品であっても『著作者』ではありますが、『著作権者』ではありません。
そして、この場合二次利用についても請求できないケースがあるため著作権契約は確実に慎重に行う必要があります。
【音楽と著作権について~著作権の種類と内容~】
音楽著作権について詳しくは過去の記事で紹介していますので是非ご覧ください。
契約トラブルの事例なども紹介されていますので、こちらを参考にしてください。
【誰でもできる著作権契約】
https://pf.bunka.go.jp/chosaku/chosakuken/keiyaku_intro/index.html
どんなシステムなの?
質問に対して選択項目から適した項目を選択したり、必要項目に入力をしていくと半自動的に著作権契約書のひな形が作成されます。あくまでもひな形としての利用を目的として開発されているため、自動作成された契約書に必要事項を追加したり修正する必要があります。
【著作権契約書作成支援システム】
https://pf.bunka.go.jp/chosaku/chosakuken/c-template/index.php
実際に契約書を作成する
1.契約書作成をはじめる
サイトトップに表示されている『契約書作成をはじめる』をクリックしましょう。
2.契約書作成の開始
はじめて利用する場合、利用対象や利用場面の最適なひな形を選択するため、『契約書ひな形選択をはじめる』をクリックします。
すでにひな形が決まっている場合は下へスクロールすることで、ひな形を直接選択することができます。
3.契約書作成のための契約書選択
今回は作曲家として楽曲の制作委託を受けたというパターンで作成します。
権利者か利用者か
はじめに権利者か利用者の選択からはじまります。
今回は『クリエーター(権利者)』となります。
4.著作物の選択
小説や絵画や写真や楽曲などたくさんの著作物の選択肢が表示されます。
今回は『楽曲及び楽曲を伴う歌詞』を選択します。
5.依頼内容の選択
どのような依頼かを選択します。
今回は『制作委託』を選択します。
6.選択肢の確認とひな形が決定
これまでの選択した内容と必要な契約書のひな形へのリンクが表示されます。
今回は『音楽の作成』というひな形でした。
『音楽の作成』というテキストリンクをクリックして先に進みましょう。
7.契約書の作成
作成する契約書の対象や前提条件などが表示されますので、内容を確認して『進む』ボタンをクリックします。
8.契約書作成フォーム
契約書作成のための入力項目が表示されますので、アコーディオンを開いて入力していきましょう。
選択によって表示される入力項目などもあります。
入力項目をすべて埋めたら『入力確認』をクリックします。
9.契約書の完成とダウンロード
契約書が完成しました。内容を確認して下部にある『完成・ダウンロード』または『ファイルの保存はこちら』をクリックするとMicrosoft OfficeのWord形式のデータをダウンロードできます。
英語訳された契約書もダウンロードできます。
※準拠法は日本国となっていて、海外の法や慣習を念頭においたひな形ではないようです。
気になる質問
著作権契約書作成支援システムは無料で使えますか?
はい。無料で利用できます。 システムで作成したひな形を叩き台として使い必要事項追加修正が必要になります。 利用者の責任で使ってください。
海外の会社との契約として使いたいのですが。
準拠法は日本国となっています。 海外の法や慣習を念頭においたひな形ではないので、契約する国の法や習慣に詳しい方に相談するようにしましょう。
依頼する側も利用できますか?
はい。利用可能です。 質問項目のはじめに『クリエイター(権利者)』か『クリエイターと契約したい人(利用者)』かを選択いただけます。
システムで書き出した文章は修正できますか?
はい。あくまで契約書案ですので自由に編集できます。 システムで提供されている契約書案の著作権は主張しないようです。
著作権契約書作成支援システムを利用することで
クリエイターやアーティストであっても著作権に関する知識はない、またはほとんど知らないという人の方が多いのではないでしょうか?
この『著作権契約書作成支援システム』を利用することで、権利者と利用者間のトラブルを減らし、これまで面倒に思っていた契約のハードルを下げ、クリエイターの意識も高まるきっかけになると思います。
こういった文化庁の動きは個人で活動しているクリエイターとしてはすごく助かります。
そしてさらに『著作権契約書作成支援システム』の精度が増し使いやすくなることを期待しています。