音楽と著作権について

音楽と著作権について~著作権の種類と内容~

音楽作品の著作権のあれこれ

音楽に携わっていると避けて通れないのが著作権のこと。自分が作詞や作曲をする機会があるのはもちろん、ほかの人の著作物に触れる機会がおおいですが、意外となんとなくしか知らない人が多いと思います。

そこで今回は著作権と音楽についてざっとご紹介しましょう。

そもそも著作権って?

著作権ってなに?
著作権ってなに?

作品を作った人に与えられる権利、というのは何となく知っていると思います。少し詳しく見ていきましょう。

著作権は何のためにあるの?

著作権は簡単に言うと、著作物を作った著作者に対する権利です。著作権は著作権法によって保護されています

例えば著作権というものがないと、他人が作った作品で何の苦労もなく利益を得ることができるので作った人は作り損になり、誰も作品を作らなくなってしまいます。それは社会全体の損失です。

そこで著作権によって著作者の努力が報われるようにして、文化が発展するようにするというのが著作権法の目的です。要は、頑張った人がちゃんと報われるようにルールを作りましょう、という当たり前のことが著作権法なのです。

日本では著作権は著作物が創造されたときに自然と発生する権利です。そのため特許などとは違い著作権を届け出たり登録したりする必要はありません

著作物って?

では自分で作り出したものはすべて著作物になるのでしょうか?著作権法でいうところの著作物というのは、著作権法で定められた4つ条件をすべて満たしている必要があるのです。その条件は以下の通りで、

  1. 「思想又は感情」を表現したものであること(統計結果など単なるデータではダメ
  2. 思想又は感情を「表現したもの」であること(思いついただけではダメ
  3. 思想又は感情を「創作的」に表現したものであること(誰もが思いつくような表現はダメ
  4. 「文芸,学術,美術又は音楽の範囲」に属するものであること

という条件を満たしたものが著作物です(例えば小説や音楽や美術や映画やゲームやプログラムなど)。

どういう種類があるの?

一口に著作権といっても、著作権は「著作者人格権」と「著作財産権」の2つからできているのはご存じでしょうか?

著作者人格権

あまりなじみがない、聞き覚えのないかもしれませんが立派な著作者の権利です。その内容は著作者の人格を守る権利で、著作者の名誉や作品に対する思い入れを守るためにあります。

わかりやすく言うと、「著作物をぞんざいに扱ったら著作者は傷つくのでやめようね」ということで、具体的に言うと

権利名権利の内容
公表権著作物を公表するかどうか、公表するならどんな風に公表するかを決める権利
氏名表示権著作物に氏名を表示するか、表示するなら本名にするかペンネームするか決める権利
同一性保持特権著作物のタイトルや内容を他人に勝手に変えられるのを防ぐ権利

などの権利があります。

また、名誉や声望を害する方法で著作物を利用することは、たとえ公表権や氏名表示権や同一性保持特権を侵害していなくとも、著作者人格権の侵害とみなされます

著作財産権

もう一つが著作財産権で、一般的に単に著作権というとこの著作財産権のことを言う場合が多いです。著作者財産権が著作者の心の部分を守る権利に対して、著作財産権は著作者の実益、お金の部分を守る権利になります。具体的には、

権利名権利の内容
複製権著作物を複製する権利
上演権・演奏権演劇や音楽などの著作物を上映、演奏する権利
上映権映画などの著作物を上映する権利
公衆送信権ラジオやテレビやネットで著作物を皆に公開する権利
公衆伝達権公衆送信されている著作物を、受信装置を使って公に伝達することについての権利(公衆送信された著作物は個人で楽しむのは自由ですが、例えば大型スクリーンなどで大勢の他人に見せるにはこの公衆伝達権が必要)
口述権著作物を朗読などでの方法で他人に公開する権利
展示権美術の著作物を展示する権利
頒布権複製した映画の著作物を売ったり貸し与えたりする権利
譲渡権映画以外の著作物の原作品または複製物を他人へ譲渡する権利
貸与権映画以外の著作物の複製物を他人へ貸し与える権利
翻訳権・翻案権著作物を翻訳、編曲、変形、翻案等する権利
二次的著作物の利用権自分の著作物をもとにした二次的著作物の著作権を自分も同じようにもらうことができる権利(つまり二次的著作物は元作品の著作権者と二次的著作物の作者の共同著作物となります)

など細かく権利を決めていまして、著作者にこの権利を与えほかの人がそういった行為をするのを禁止することによって著作者の利益を守っているというわけです。

著作権は譲渡できる?

著作権は他人に譲渡したり相続することはできるのでしょうか?

結論としては、著作財産権の一部または全ては譲渡・相続可能ですが、著作者人格権は譲渡・相続できません。

理由としては個人の財産である著作財産権は金銭になりうる個人の財産ですが、著作者人格権というのは個人の名誉という形のないものだからです。

音楽の著作権について

著作権譲渡の契約書
著作権譲渡の契約書

著作権については大体わかっていただけたと思います。それでは音楽における著作権のお話に移りましょう。

音楽の著作権者は誰?

音楽での著作物とは何があるのでしょうか。それは当然楽曲です。

「じゃあ著作権者は楽曲を作った人だ」と思うかもしれませんがここで考えていただきたいのが歌ものの場合です。作詞した人と、作曲した人が違う場合著作権はどうなるのでしょうか?

結論から言うと作詞家にも作曲家両方が著作権者となります。ただし、楽曲の著作権ではなく、作詞家には歌詞の著作権が、作曲家にはメロディに対する著作権が与えられるのです。「歌もの楽曲は歌詞とメロディで1つじゃないの?」と思うかもしれませんが、著作権法上は結合著作物と言って、楽曲は歌詞という著作物とメロディという著作物の合作と扱われるのです。

作詞作曲が違う人の場合権利もバラバラなので、歌ものでも作曲家が楽曲をオルゴール化する際に作詞家の許可を得る必要はありませんし、作詞家が歌詞で使われた表現を詩集にしても作曲家には何の関係もないということです。

複数人で作詞や作曲をした場合どうなるの?

では作詞または作曲が複数人で行われた場合はどうなるのでしょうか。例えばAさんとBさんが共同でアイディアを出し合って作詞した場合、著作権はどちらが持つことになるのでしょうか?

正解はAさんとBさんが共同で著作権を持つことになります複数人で創作した著作物は共同著作物といって、共同著作物の著作権は創作者全員が共有することになります。

著作権を複数人で共有するとどうなるかというと、著作権者の権利を行使するため全員の同意が必要となります(ただし権利行使を反対するには正当な理由が必要です)。

アーティストは著作権者にはなれないの?

ここで勘のいい方ならこう疑問に思うかもしれません。「あれ?バンドやアーティストなど演奏する人って著作権はもらえないの?」と。音楽の場合作詞作曲をしてもアーティストによって演奏されなければ作品になりませんよね。

結論から言うと、演奏者は著作権を得ることはできません。しかしその代わりに著作隣接権という権利を得ることができるのです。

著作隣接権とは?

著作隣接権とは、著作物の伝達に重要な役割を果たしている者に与えられる権利のことです。著作隣接権者になれるのは実演家(アーティストなどの演奏者)のほかにレコード製作者や放送事業者や有線放送事業者で、それぞれ所定の伝達方法を行う際に権利が付与されます。簡単に言うとアーティストは演奏に対して、レコード製作者は発行したレコードに対して、放送事業者は番組に対しての権利が発生します。

どのような権利があるかはアーティストやレコード会社などでそれぞれ違いますので一覧を載せておきます。特徴としては実演家(アーティスト)にのみ人格権が与えられます。

【実演家(演奏者)の権利(実演家人格権と著作隣接権)】

Ⅰ.実演家人格権
権利名権利の内容
氏名表示権演奏を発表するとき名前を出して発表するかしないか、発表するならどういう名前で発表するかを決める権利
同一性保持権発表した演奏の内容を勝手に変えられないようにする権利
Ⅱ.著作隣接権
権利名権利の内容
録音権・録画権自分の演奏を録音、録画する権利
放送権・有線放送権録画、録音した自分の演奏を放送する権利
送信可能化権録画、録音した自分の演奏をネットにアップロードして他人がアクセスできる状態にする権利
譲渡権録画、録音した自分の演奏を他人に譲渡する権利
貸与権商業用レコードを貸し与える権利
放送の二次使用料を受ける権利録画、録音した自分の演奏または商業用レコードを(有線または)放送事業者が使用した際に報酬を受け取る権利
貸しレコードについて報酬を受ける権利貸しレコード会社から報酬を受け取る権利

【レコード製作者の権利(著作隣接権のみ)】

権利名権利の内容
複製権レコードを複製する権利
送信可能化権レコードをアップロードして他人がアクセスできる状態にしておく権利
譲渡権レコードの複製物を他人に譲渡する権利
貸与権レコードを貸し与える権利
放送の二次使用料を受ける権利レコードを(有線または)放送事業者が使用したときに報酬を受け取る権利
貸しレコードについて報酬を受ける権利貸しレコード会社から報酬を受け取る権利

【放送事業者・有線放送事業者の権利(著作隣接権のみ)】

権利名権利の内容
複製権放送を録音、録画し複製する権利
再放送権・有線放送権放送を再放送したり、有線放送したりする権利
送信可能化権放送をネットにアップロードして他人がアクセスできる状態にする権利
テレビジョン放送の伝達権放送内容を拡大装置(大型スクリーンなど)を使って公に伝達する権利

バンドで演奏した場合どうなるの?

バンドで演奏した時の著作隣接権はどうなるのでしょうか?メンバーのだれが持つことになるのでしょうか。

バンド名義での著作物というのはバンドメンバーの共同著作物なので、著作隣接権はバンドメンバー全員で共有することになります。そのため権利を行使するにはメンバー全員の同意が必要です。

【コピーバンド演奏について詳しい記事】
コピーバンドでライブをするのは著作権侵害か?音楽著作権の基礎を知っておこう

編曲家はどうなるの?

編曲家(アレンジャー)は作曲家の依頼を受けてメロディーをアレンジするのですが、そのアレンジした編曲はどういった扱いになるのでしょうか?

編曲は元著作物である曲の二次的著作物に当たります。つまり編曲に対して編曲家は著作権を得ることができますが、元著作物者(作曲家)との共同著作権となります。編曲家は編曲したメロディを作曲家の許可なしに自由にすることはできませんし、その逆もしかりです(大体はのちのち揉めないように、作曲家はお金を払って編曲の著作権を全譲渡してもらうことが多いようです)

権利の内容を知ることが大事

いかがでしたでしょうか。今回は著作権と音楽における著作権を紹介しました。

音楽で著作権が認められているのは歌詞とメロディだけですが、著作隣接権という形でアーティストやレコード会社などの権利を認めているのは素晴らしいですよね。

ほかにも著作権料の話や、著作権の期間の話も別記事でお話しするので、併せて読んでいただければ幸いです。

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