その著作物、著作権は有効?
著作物を創作した際に発生する著作権は、著作権者の権利を守る大切なものです。
しかし著作権は永遠に保証されるものではなく、一定期間を経るとなくなってしまうものなのです。
今回は著作権の有効期間について解説します。
著作権ってどのくらいの期間有効なの?
著作権や著作隣接権などは著作権法で決められた一定の存続期間があり、それを保護期間と呼びます。保護期間はどのくらい続くのでしょうか?
「著作権は50年間有効って聞いたことがある」という方も多いのではないでしょうか。今まではおおむねそれで正解でしたが、2018年末に著作権法の法改正ががおこなわれ、著作権の保護期間の延長があり以下のようになりました。
【著作権】
種類 | 改正前 | 改正後 |
映画 | 公表後70年 | 公表後70年(延長なし) |
映画以外の著作物で、本人名義のもの | 著作者の生存年間および死後50年 | 著作者の生存年間および死後70年(20年延長) |
映画以外の著作物で、無名・ペンネーム・団体名義のもの | 公表後50年 | 公表後(20年延長) |
【隣接著作権】
種類 | 改正前 | 改正後 |
実演 | 実演が行われた後50年 | 実演が行われた後70年(20年延長) |
レコード | レコードの発行後50年 | レコードの発行(20年延長) |
放送 | 放送後50年 | 放送後50年(延長なし) |
大体20年延長され70年となっていますが、映画はもとから70年なので延長なし、放送は50年から延長なしとなっています。
この延長は改正前の保護期間についても適用されますが、すでに保護期間が終了しているものには適用しません。例えば改正前保護期間が2022年で終わる著作物は保護期間が2042年までに延長されますが、2000年で保護期間が終わっている著作物の保護期間を2020年までとして2001年から2020年までの利用者を法律違反とするなんてことはしない、ということです。
特徴的なのは、大体の権利は発生から保護年数をカウントするのに対して、個人名義の映画以外の著作物は発生から生きている間はもちろん死後から70年保護してくれます。共同著作物の場合は、最後の著作権者がなくなった後の70年間が保護期間となります。
外国人の著作物の保護期間は?
ここで気になるのは外国人の著作物の保護期間です。当然のこと、日本国内で発行された著作物に関しては日本人も外国人も関係なく一律で保護されます。
では日本国外で発行された外国人の著作物についてはどうでしょうか。これらについては国際条約によって取り決めをされており、著作権は「ベルヌ条約」と「万国著作権条約」、著作隣接権は「実演家等保護条約」と「レコード保護条約」などによって行われています。条約の批准国同士であれば、相手国の国内の著作権保護のルールに従うことになるので、著作物が出版された国で著作権の保護期間がどうなってるかに注目する必要があります。ちなみに条約に批准していな国の著作物を気にする必要はありません。
著作権を譲渡・相続した場合はどうなるの?
著作権を譲渡または相続した時の保護期間はどうなるのでしょうか?個人名義の著作権は著作者の生存期間と死後70年ですが、譲渡すると変わったりするのでしょうか。
ここでミソなのが、著作権を譲渡・相続したとしても著作者が変わるわけではないというところです。AさんがBさんに著作物Xの著作権を譲ったとしても、Bさんは著作権者になるだけで著作者はAさんのままです。つまり譲渡しようが相続しようが著作者の死後70年経つと著作権は消滅するのは変わらない、ということになります。
著作権の保護期間にご注意!
いかがでしたでしょうか。今回は著作権の有効期間(保護期間)について解説しました。
2018年に法改正が行われ多くの著作権に対して20年の延長が行われたため、1968年以降に亡くなった著作者の個人名義の作品や、1968年以降に発表された演奏やレコードなどについては取り扱いに注意が必要です。うっかりと著作権保護期間が終わっていない作品を利用してしまわないように気を付けてください。
ぜひ参考になれば幸いです。