ローズウッドについて、名前を聞いたことがある人も多くいると思います。ギターなどにも多く使われていて、たくさんのプレイヤーから愛されているものだったりしますよね。
とはいえ、
- ローズウッドについてよくわからないから知りたいな
- ワシントン条約によって何が変わったの?
上記のように考える人に向けて、実際に楽器を習っていた筆者から解説をしていきたいと思います。
3分程度で簡単に読むことができる内容となっていますので、ぜひ見てみてください。
目次
木材を規制するワシントン条約について
ワシントン条約とは正式名称
日本語で『絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約』
英語で『CITES(the Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora)』
木材の規制については、このワシントン条約が非常に大きく影響しています。
まずはこのワシントン条約の内容をしっかりと理解しておかないと、規制について知ることも難しくなってきてしまいます。一緒に確認をしていきましょう。
絶滅危機
ワシントン条約は、絶滅危惧にある動物に焦点を当てて制定された条約の1つとなっています。動物が絶滅するのはある意味仕方のないことでもありますが、できる限り人間の手によって防いであげることも必要だったりします。きちんとした条約を制定しておくことで絶滅をしっかりとなくすことにもつながるからです。
では、具体的にどんな動物が絶滅危惧種になっているのでしょうか。基本的には「象・オウム・トカゲ・カメ」などが挙げられます。象牙が今では手に入りにくくなっているというのは聞いたことがある人も多いでしょう。そんな風に、身近なものの中にも絶滅の危険があるものは多く存在しているのです。
絶滅の危機にある動物を、これまでと同じように捕獲してしまえば、もちろん絶滅に繋がってしまいます。そのためにワシントン条約などを制定して対策をとっているというわけですね。
誕生の歴史
ワシントン条約が誕生したのは1970年代に遡ります。
この時は、まだできたばかりということもあって加盟した国はとても少なかったのです。約80カ国程度。ほとんどの国は加盟していなくてワシントン条約の無い状態で過ごしていたことがわかるはずです。その後は、ワシントン条約の魅力が多くの国に知れ渡るようになったため、現在では180カ国近くが加盟しているすばらしい条約であることが分かります。
ワシントン条約と聞くと、厳しい規制をしていたり、取引に注意を払っているような印象を持つ人も結構多くいるかもしれません。しかし、実際は規制をすることだけがワシントン条約ではないのです。人々が快適に生活していくためにはある程度他の動物の存在が必要だったりもします。なので共存していくというのもワシントン条約の目指すところです。規制するだけでなく、個体数なども増えて特に必要がなくなった場合は逆に規制緩和を行ったりすることも考えられるのです。
ワシントン条約については、密猟などをなくすような警察に近い機能を持つと考える人もいるかもしれません。しかし、実際はそうではなくて過剰な取引を制限することが主な内容となっています。
しくみ
基本的には、ワシントン条約に基づいて会議が行われることになります。25の取り決めがありますので、これに合わせて話し合いが行われていくわけです。
常設委員会や動物委員会、植物委員会などいろいろな部門も用意されていて、それぞれの部門で詳しい内容について話し合いがされているのです。
会議
大体3年に1度くらいのスパンで話し合いが行われています。できるだけすべての人が納得できるような形で取り決めができるように「全会一致」というかたちで全員の賛成を目指すように心がけています。
上記でも挙げたように、数百もの国が結んでいる条約なので、多くの人に納得してもらうことは欠かせないことでもあるわけです。
とはいえ、さすがに全ての話し合いで皆が納得するのは難しいポイントだと思います。そこで、合意ができない場合は3分の2以上の納得がされて採択されることとしています。
ローズウッドの種類
ギターやベースの指板材として代表される重厚で耐朽性(たいきゅうせい)が高く、硬いことが特徴のローズウッド。
では、実際にローズウッドにはどんな種類があるのでしょうか。
以下で、それぞれの種類について解説をしましたので見ていきたいと思います。
インディアンローズウッド
おそらく、かなりメジャーに使われているローズウッドの種類がこちらの「インディアンローズウッド」になります。名前を聞いたことがある人も結構多くいるのではないでしょうか。とても強度が強いという意味でも有名なため、ギターの材料としても安心して使用することができるのは大きな特徴です。
切った時に、薔薇と同じ匂いがすることから「ローズ」という名前が入っています。クリアで鮮明に音が聞こえるというのも、インディアンローズウッドの大きな魅力となっています。
ブラジリアンローズウッド
その名の通り、ブラジルの広葉樹の一つになります。
楽器ではよくハカランダまたはジャカランダと呼ばれています。
ブラジリアンローズウッドの特徴としては、その高級感が挙げられます。良いギターなどにしか使われることがなかったりするので、多くの人の憧れだったりもするわけです。
ブラジリアンローズウッドが使われているギターは数百万円にものぼることがあるので、素人にとってはかなり手を出しづらい部分でもあるといえるはずです。
ホンジュラスローズウッド
ホンジュラスローズウッドも非常に魅力的な木材の1つです。ギターなどを弾きたいという人は、そのデザイン性にこだわる人も結構多くいることだと思います。ただ音が出れば楽器として機能しているわけでは無いですよね。
そんな風にデザインにもこだわりたい人におすすめなのが「ホンジュラスローズウッド」です。独特の縞模様がおしゃれな感じを演出しています。楽器などはもちろんですが、家具などのさまざまな場面にも使われている木です。
高級な木材なので、お値段が少し張るのが難点かもしれません。
マダガスカルローズウッド
マダガスカルローズウッドについては、サウンドとビジュアルの両方の面で美しさがあるのが特徴となっています。
こちらも縞模様がとてもきれいに入っているので、楽器の見た目を良くすることにも一役買っています。また、サウンドについてもブラジリアンローズによく似ていることが分かるはずです。ブラジリアンローズが高級なわけですから、それに似ているマダガスカルローズウッドが高級になるのも納得ですね。
価格帯についても、割と高級な部類に入ります。粘り気のあるような音になり非常に個性がありますので多くのファンからも愛されている木材となっています。
楽器の規制解除について
では、楽器が規制解除されたことによってどんなメリットがあるのでしょうか。
基本的には、楽器を使っていく上でたくさんの良い部分が増えたと考えて大丈夫です。
以下で細かく解説を加えていきたいと思います。
簡単に買える
1つは簡単に買えるということですね。ワシントン条約によって木材の使用許可などもかなり複雑になっていると考えられますので、市場に流通することが少なくなっているのは考えられる部分でもあるでしょう。
それに加えて、ワシントン条約で取締りがされていれば希少性が大きく高まることにも繋がってきます。希少性が高ければその分価格が高くなることになります。
その点、規制解除によって簡単に手に入るようになれば良い楽器が安価で手に入ることも考えられます。
気軽に手に入る
上記でも挙げた通り、楽器を気軽に手に入れやすくなるのも非常に大きなメリットになります。
これまでローズウッドの楽器は身近で手に入れることが少なかったかもしれません。また、店にあったとしても、規制緩和によって目に触れる回数が増えることが予想されます。
これによって、今まで以上にローズウッドの楽器を気軽に購入できるようになるのです。
手に入れるまでの手間などを考えてみると大きく改善されたことがわかるはずです。
大切にするべし
ローズウッドの解禁が嬉しいことは間違いないでしょう。これによってローズウッドの人気も高まると予想されるので、多くの人がローズウッドを使った商品を作ることも予想されます。しかし、それは非常に危険だということです。たくさんの商品を作れば、それだけローズウッドを多く消費することにも繋がっていきます。そうすると、また、規制されることにも繋がってしまいます。
なので、あくまでローズウッドを使いすぎないという姿勢はとても重要になってきますし、しっかりと継続していく必要があります。
楽器の規制解除による影響
では、規制緩和によって他にどんな影響がでてくるのでしょうか?
身近なことでも変わってくる部分が多くあります。
足止めがなくなる
ギターなどを海外から持ち込む場合に、税関でかなり時間がかかってしまうケースがあるようです。中には半月近くも持ち込めないケースがあったようで、すぐに弾きたいという人にとっては苦しい時もありました。
そういった楽器が欠かせないミュージシャンなども気軽に弾くことができるようになったのは、大きな改善だといえます。今後も、また規制が強化されないように気をつけていく必要がある部分ですね。
これからの考察
最近では、SDGsの動きも活発になってきていますね、環境への配慮も大きくなっている部分だと思います。
そのため、規制が解除されたからといってすぐに状況が変わるとは考えにくいでしょう。店頭に並ぶ商品の数なども大きな変化はないはずです。
大切なのは1人ひとりが今までと同じようにローズウッドを大切にしていくという意識です。環境のことは常に考えておくべきでしょう。
まとめ
今回はローズウッドに触れながら書いてきました。
規制緩和について嬉しく感じている人も多いのではないでしょうか。特にミュージシャンの方などであれば思うところは大きいことでしょう。
とはいえ、ワシントン条約によってもう一度規制されないようにするための努力は必要になってきます。
大切にしようとする意識を1人一人がしっかりともつことで変わってくる部分にもなってくるでしょう。
努力を続けていきましょう。