コロナが落ち着いてきた今日この頃、ニュースサイトなどメディアを開けばChatGPTや自動運転技術や顔認証機能なと見ない日はないかもしれない『AI』というワード。
この記事を書いている間にもGoogleが作曲AI『MusicLM』を発表。
あとでこのサービスについても触れてみます。
このAIがもたらす未来を見据え、AI×音楽についてまとめて紹介します。
目次
AI(人工知能)とは
AIはArtificial Intelligenceの略称で、Artificial(人工的な/人造の)、Intelligence(知能/知性/知力)という意味を持ちます。
AIの概念や定義
1950年、イギリスの数学者で哲学者、暗号研究者としても有名だったアラン・チューリングは『Computing Machinery and Intelligence – 計算する機械と人間』という論文で『機械は考えることができるか?』という実験を『模倣ゲーム』として提案しました。これがAIの概念を世の中に初めて発表した資料となっていて、アラン・チューリングは人工知能の父とも呼ばれています。
そしてArtificial Intelligenceという言葉が定義されたのは1956年。7月から開催されるダートマス会議に向け1955年アメリカの計算機科学者で認知科学者であるジョン・マッカーシーら研究者たちが提案書に初めて使用しました。
AIと時代の流れ
1960年にはアメリカやイギリスで第一次AIブームが起こり、パズルやチェスや迷路など明確なルールがあるゲームの解き方をAIが導き出します。
1970年代には停滞期を迎えますが、1980年に入り第二次AIブームが到来。
あらかじめ専門家が考えうるさまざまな状況をデータにすることで、状況に応じてAIが考え出し予測するようになりました。
そして、また1995年頃から停滞期に入ります。
第三次AIブームは2000年代初頭におとずれます。ビッグデータを分析しアルゴリズムに基づいて学習させる機械学習や、人間の神経回路に似ているとも言われるニューラルネットワークからなるディープラーニングと呼ばれる深層学習の登場により一気に加速します。センサー技術が向上しコンピューターの処理速度など技術が向上したことで膨大なデータから人間がとても扱えないような抽象的な物でも特徴をつかみ結果を導き出すことができるようになり、画像認識、音声処理、言語処理のような分野で大きな成果が上がっています。
コンピューターによる作曲の歴史
1954年ルーマニア生まれの建築家で作曲家のヤニス・クセナキスが五線譜を使わず、コンピューターを使用して図形を使った作曲方法で『メタスタシス』を作曲しました。
そして。コンピューターが初めて音楽を作曲したのは1957年。
レジャレン・ヒラーとレオナルド・アイザックソンがILLIAC I(イリアック・ワン)というアメリカのイリノイ大学で開発されたコンピューターを使い『イリアック組曲』という曲を作曲しました。
AIの活用方法は作曲だけではなく作詞にも注目されている
2022年11月アメリカのサンフランシスコにあるAI研究企業のOpenAIが開発したChatGPTは人間を相手にチャットで会話する自然言語処理ツールで、質問したことに対してAIが自然な返答をくれることで話題になりました。
このChatGPTには作詞をしてもらうことも可能で、例えば『クリスマスに恋人たちと街のイルミネーションが彩る夜の風景を心踊る日本語の歌詞にしてください』とChatGPTに依頼すると、このように答えてくれました。
いかがでしょうか。
要望にあわせた歌詞になっていることがわかるかと思います。
さらにChatGPTは作成した歌詞に要望を追加したりすることもできます。
歌詞をそのまま使うことはクリエイターとしては難しいと思うのですが、叩き台を作り出すには便利な作詞ツールになるのではないでしょうか。
ChatGPT
https://openai.com/blog/chatgpt/
AIが進化することでさらに自然でユーモアさを持ち、今までにない人間とは違ったジャンルの歌詞などを作ってくれる期待も高まります。
作曲ツールとしてのAI
パソコンを使用して楽曲制作をするアーティストや作家はすでに使っている方も多いかと思いますが、AI搭載プラグインソフトなどもこれから伸び続ける分野になると思います。
録音や作業の補助ツールとしても作曲やアレンジの提案ツールとしてもAIの進化により、なくてはならないツールになり、苦手な部分や時間がかかってしまう作業をAIが補完してくれる便有効なツールになっていくと思います。
Orb Producer Suite
コード進行から主旋律となるメロディーや楽曲を支えるベースやアルペジオなど4種類のプラグインが作曲をサポートしてくれるAI搭載のDAWのプラグインパッケージ。現在V3までバージョンを上げ、さらに便利で強力なツールになっています。
https://www.orbplugins.com/orb-producer-suite/
Playbeat
ステップ形式のサンプラーのようなMIDIシーケンサーで、アルゴリズムやランダマイザーを用いて無限のリズムパターンを生成してくれるツールです。
https://audiomodern.com/shop/plugins/playbeat-3/
iZotope Ozone9
AI搭載のマスタリングツール。
ボタンひとつでAIが音楽の解析を始め自動でマスタリングしてくれる『MASTER ASSISTANT』機能を持ち、エフェクターなどの選定と設定、音圧などの調整も自動で調節してくれます。リファレンス曲などに合わせて調整してくれる機能も搭載。
AIによる音楽自動生成サービス
最後はスマホなどでも簡単にAIが作曲してくれるサービスを紹介します。
AIや技術の進化により著作権なども気にせず、YouTubeなどの動画や店舗BGMなどで流せるようになりました。これからもこの分野には様々なサービスが出てくると思います。
SOUNDRAW
音楽は「さがす」から「つくる」へ。
SOUNDRAW株式会社が提供するSOUNDRAWはテーマ・ムード・長さ・テンポ、使用楽器などを選択するとすぐに数曲リストアップされ曲を視聴することができます。
日本語でわかりやすく気に入った曲を編集したり、ダウンロードしたりと、初心者でも作曲を楽しむことができるサービスです。
Amper Music
Amper MusicもSOUNDRAWと同じようにジャンルや長さを選択することでリストアップされます。英語のためブラウザで日本語翻訳をするとバグって動かなくなりました。
英語がわかる人なら便利に使えるサービスです。
Amadeus Code Cloud
音楽制作者向けの作曲支援ツールとして公開された『Amadeus Code』。
現在は『Amadeus Code Cloud』として進化を続けCHAIMELEON、Amadeus Code、AMADEUS TOPLINEと3つのツールを利用できるサブスクリプション型サービスとして機能が拡張しています。作り出した楽曲はオリジナル楽曲としてマネタイズも自由にできます。
https://studio.amadeuscode.ai/ja
FIMMIGRM™
ムード、キー、ジャンル、テンポを指定して生成ボタンをクリックするとAIがトラックを生成してくれるサービスです。
すでに作曲したMIDIをアップして、アップしたMIDIをベースにAIが作曲する機能も魅力の一つ。クレジットというサービス内の通貨で楽曲のダウンロードなどが可能になります。
運営者は音楽プロデューサーでクリエイター集団agehasprings代表の玉井健二さんという衝撃。
MusicLM
Googleが2023年1月にテキストからAIが自動で楽曲を生成するサービスを発表。
詳細は追々書き足します。
https://google-research.github.io/seanet/musiclm/examples/
AIはまだまだ発展途上
2012年頃から技術の向上にともなって猛烈な勢いで進化するAI。
AIはまだまだ発展途上ではありますがその勢いは人が使えば使うほど、コンピューターやセンサー技術が進化すればするほど、DNAなどの大量データを解析する情報が増えれば増えるほど進みます。
技術的特異点(シンギュラリティ)という言葉が指すように、人間の知能を超えた人口知能を持つAIはもうすぐそこまで進化しています。
シンギュラリティの提唱者、レイ・カーツワイル博士は2045年と予想していますが、日常に共存し当たり前のようにAIを使い音楽を作り出し音楽を聴く日はもうすぐそこにあると思います。アートというジャンルにおいて人間の感性に辿り着くかはわかりませんが、クリエイターもアーティストもAIと共に制作し発信できる準備はしておいた方がよさそうです。
AIに全てを乗っ取られるのではなく、互いに補い合い共に創り出す世界が楽しみです。